2人の天才

先週の土曜の話なんで、今更ではありますが。


午前中、アマゾンより2通の包みが到着。一つは戸川純のベストアルバム、「TOGAWA LEGEND」。もう一つは浅野真澄のエッセイ、「ひだまりゼリー」。


先日ニコニコしていた時に、すごく耳に残る歌を聴いた。興味をひかれたので調べたところ、戸川純という人の「好き好き大好き」という曲だった。その音楽センスがあまりに衝撃的だったので、次々と他の曲も視聴。普段は甘さと力強さを兼ね揃えた、王道女性ボーカルな感じ(NOKKOに似てると思う)の声色だけど、ある時は舌っ足らずの少女のような声で歌ったり、またある時はスケール感あふれる迫力の裏声で歌ったり、まるで機械のような、初音ミクそっくりな声で歌ったり、曲ごとの歌い分けが天才的。なんというか、聞くたびに新体験。


そんな感じで一日にしてファンになったのだが、狙ったかのように、近々歌手生活30年弱の集大成となるベストアルバムが発売されるとのこと。6000円というお値段だったけど、迷いもせずにアマゾンで購入、そして土曜の到着に至る、と。そんなわけでひたすらに聴き倒しているわけだが、次の曲がかかる度に、新しいトガジュンの魅力が発見できてしまう。ディスク3枚組み、レア音源も含んで60曲オーバー、これで6000円はお買い得というより他ない。干支が二回してしまうぐらい昔からこんな天才がいたんだ思うと、彼女を知りえた幸運に感謝したくなる。


もいっこの方、浅野真澄の「ひだまりゼリー」。失礼を承知の上で書くが、読む前は「所詮は声優のエッセイ、ブログに毛が生えた程度のもんだろう」なんて思っていた。甘かった。甘々だった。身近なものをテーマに、彼女の言葉と、自ら撮影した写真とで綴られた20編あまりのエッセイは時に楽しく、時に切なく、そしてその裏にある彼女の生き方、人生哲学を伝えるものであると同時に、読む人に感動を与えるものだった。


自分もちょっと歳を重ねてきて、なにかにつけて昔を懐かしく思う機会は増えたけど、どれだけ遡ってもいいとこ小学校の高学年ぐらい。それより前の、本当に子供のころのことなんて、最近は思い出すきっかけすらなかったけれども、彼女のエッセイの中で語られる幼いころの思い出を通じて、自分の心の奥底に眠っていた記憶(原体験に近いところかもしれない)が、堰を切ったようにあふれかえってくるのを感じた。


本の最後のほうで語られる、タイトルの由来も秀逸。声優のエッセイなんて、と思わず、一人の素晴らしいエッセイストの文章として、少しでも多くの人に手にとってもらいたいなぁと思う。


TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008

TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008

ひだまりゼリー―浅野真澄エッセイ

ひだまりゼリー―浅野真澄エッセイ